精 — 精緻な仕事
見えない部分まで手を抜かない。分解と点検は、常に「もう一段階深く」を基準にする。
Velocita Motorsは、東京・世田谷を拠点にJDM文化を整備するガレージです。
「うまい施工とは、オーナーが気づかないところまで整えてあることだ。」
2015年、創業者の中野は世田谷区北沢の裏路地に、たった三坪のシャッターを借りた。当時はリフト一台と工具箱だけ。日中は他店で整備士として働き、夜になるとそのシャッターで自分の車をいじる——それがヴェロチタモータースの原型だった。深夜、作業灯の下でエンジンを分解する時間が何より好きだったという。「誰にも急かされず、車の声を聞く時間だった」と中野は語る。友人の車を預かるようになり、口コミで依頼が増え、2018年に今のガレージへ移転。派手な広告は一切出さず、深夜の首都高と峠、そして渋谷のミーティングで少しずつ名前が知られていった。
無料相談を予約する三坪のシャッターから、40台以上の車種に対応する現在のガレージへ。
世田谷区北沢に三坪のシャッターを借り、個人整備として始動。
依頼の増加に伴い法人化。リフトを二台に増設し、常駐スタッフを雇用。
4WDシャシダイナモを導入し、セッティングの精度が大きく向上。
北沢2丁目の現在地へ移転。整備スペースを3倍に拡張。
海外パーツメーカーとの直接取引を開始し、輸入手配を自社で対応。
累計480台以上の施工実績。深夜ミーティングは月例行事に。
精緻、速度、静寂——このガレージが十年間手放さなかった三つの姿勢。
見えない部分まで手を抜かない。分解と点検は、常に「もう一段階深く」を基準にする。
数字だけの馬力を追わない。オーナーが走る道に合った、実感できる速さを設計する。
派手な演出より、乗った瞬間に分かる静かな精度。長く付き合える一台をつくる。
それぞれ専門を持ちながら、一台の車を全員で見る体制を保っている。
リフト2基、4WDシャシダイ1基、部品棚には輸入パーツと純正部品が並ぶ。作業スペースは常に整理され、工具は使うたびに元の位置へ戻す——これも精緻な仕事を支える小さな習慣だ。奥のデスクでは、セッティングデータをノートに手書きで残す旧来の方法も続けている。
「エンジンの回り方が変わった。峠でアクセルを開けた瞬間の伸びが、以前とは別物です。」K.T. 様
R34 スカイラインGT-R「足回りの相談を何度もしましたが、毎回丁寧に理由を説明してくれるので納得して任せられます。」S.M. 様
A80 スープラ「深夜のミーティングで見た仕上がりに惹かれて依頼しました。写真より実車の方が美しかった。」Y.H. 様
S15 シルビアJDMの旧車は年々数を減らしている。部品の供給は細くなり、知識を持つ職人も少なくなった。ヴェロチタモータースが次の十年で目指すのは、この文化を絶やさず次の世代へ渡すことだ。若い整備士の育成、輸入パーツの安定供給網の構築、そして深夜のミーティングを通じたコミュニティの継続——どれも派手な成長戦略ではないが、静かに、確実に積み上げていく。2030年までに、世田谷から始まった小さなガレージが「東京のJDM文化を支える拠点」として自然に名前が挙がるような存在になりたいと考えている。